胚盤胞のグレードは妊娠率と関係ない?グレードが低くても妊娠できる本当の理由
「体外受精でできた胚盤胞のグレードが低かった…」
「グレードが悪いと妊娠は難しいって本当?」
体外受精において、胚盤胞のグレードは妊娠を望む方にとって、最も気になることの一つではないでしょうか。グレードが良いと期待が高まり、グレードが低いと「もうダメなのかな…」と不安になってしまうのは当然です。
しかし、「胚盤胞のグレードは妊娠率と関係ない」という言葉を耳にしたことはありませんか?この記事では、胚盤胞のグレードが妊娠に与える影響について、専門的な見地から分かりやすく解説します。グレードが低くても妊娠できる理由や、グレードの見方についてもご紹介します。不妊治療で不安な気持ちを抱えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
胚盤胞の「グレード」とは?
胚盤胞のグレードは、培養士が顕微鏡で胚盤胞の見た目を観察し、将来性を評価するための指標です。
グレードは、一般的に以下の3つの要素で評価されます。
発育速度と成長段階: 胚盤胞がどのくらいまで成長しているか
内部細胞塊(ICM): 将来、赤ちゃんになる部分の細胞の状態
栄養外胚葉(TE): 将来、胎盤になる部分の細胞の状態
これらの評価を組み合わせて「5AA」や「3BB」などのアルファベットと数字で表します。数字が大きいほど発育が進んでおり、アルファベットが良いほど細胞の状態が良いとされます。
グレードが良い胚盤胞は、なぜ妊娠しやすいの?
グレードが良い胚盤胞は、妊娠率が高い傾向にあると言われています。これは、見た目が良く、発育速度が良好な胚盤胞は、染色体が正常である可能性が高いと考えられているからです。
染色体異常は、着床しない、または流産の主な原因となります。グレードが良いということは、見た目の染色体異常が少ないため、妊娠につながりやすいと判断されるのです。
「グレードは関係ない」と言われる本当の理由
では、なぜ「胚盤胞のグレードは関係ない」と言われるのでしょうか?それは、グレードが低い胚盤胞でも妊娠できる可能性が十分にあるからです。
1. グレードは見た目の評価に過ぎない
グレードは、あくまでも培養士が顕微鏡で見た目を評価したものです。見た目が悪くても、生命力が強く、染色体が正常な胚盤胞はたくさん存在します。
2. グレードと染色体異常は一致しない
グレードが良いからといって、染色体異常がないわけではありません。逆に、グレードが悪いからといって、必ずしも染色体異常があるわけでもありません。
グレードが良いのに着床しないケースもあれば、グレードが低いのに妊娠して無事に出産に至るケースも多く報告されています。
3. 着床は子宮環境が重要
胚盤胞が着床するには、子宮環境も非常に重要です。胚盤胞のグレードがどんなに良くても、子宮内膜の状態が悪かったり、着床を妨げる要因があったりすると、妊娠にはつながりません。
胚盤胞のグレードを「上げる」ことはできる?
残念ながら、胚盤胞のグレードを意図的に上げることは難しいです。グレードは、卵子と精子の質によって決まるため、採卵や受精の段階でほとんど決まってしまいます。
卵子の質を上げるために、生活習慣を整える、サプリメントを摂るなどの対策はありますが、それらが直接グレードに影響するかは、まだ解明されていません。
まとめ:グレードに一喜一憂せず、前向きな気持ちが大切
胚盤胞のグレードは、妊娠率を予測する上での一つの目安に過ぎません。グレードが低いからといって妊娠を諦める必要は全くありません。
グレードは見た目の評価であり、生命力を測るものではない
グレードが低い胚盤胞でも正常な染色体を持っている可能性は十分にある
子宮環境を整えることも着床には非常に重要
不妊治療の道のりは長く、不安になることも多いでしょう。しかし、グレードの数字やアルファベットに一喜一憂するのではなく、ご自身と胚盤胞の可能性を信じ、前向きな気持ちで治療に向き合うことが大切です。