葬儀にリクルートスーツはOK？失礼なく参列するための服装マナー
急な訃報が届いた際、「喪服がないけどどうしよう…」「リクルートスーツでも大丈夫かな？」と悩む方は少なくありません。特に社会人経験が浅い方や、喪服を用意する時間がなかった場合、手持ちのリクルートスーツで参列することを検討するかもしれません。
結論から言うと、喪服が準備できない場合に限り、リクルートスーツでの参列も許容されることがあります。しかし、周囲に「喪服ではない」と気づかれず、失礼なく故人をお見送りするためには、いくつかの大切なポイントがあります。
この記事では、葬儀における服装の基本マナーから、リクルートスーツで参列する際の注意点、そして、いざという時に困らないための準備について詳しく解説します。大切な葬儀で失礼のないよう、落ち着いて参列するための参考にしてください。
葬儀における服装の基本マナー：一番は「喪服」
葬儀に参列する際の最も適切な服装は、故人やご遺族への弔意を示す**「喪服（礼服）」**です。喪服には格式があり、一般的に「準喪服」を着用します。
男性の場合の準喪服
ジャケット: 黒無地のシングルまたはダブルのブラックスーツ
パンツ: ジャケットと共布のストレートタイプ
シャツ: 白無地のレギュラーカラー
ネクタイ: 黒無地のもの
靴下: 黒無地
靴: 黒の革靴（金具の少ないシンプルなデザイン）
女性の場合の準喪服
服装: 黒無地のワンピース、アンサンブル、スーツ（スカート丈は膝下）
インナー: 白や淡い色のブラウスは避け、黒のシンプルなもの
ストッキング: 黒のストッキング（30デニール程度が目安）
靴: 黒のパンプス（ヒールは低め、装飾の少ないシンプルなデザイン）
アクセサリー: 結婚指輪以外は避けるか、パールの一連ネックレス程度。光るものは避ける。
喪服は、故人への敬意を表すための大切な服装です。可能な限り、この基本マナーに沿った喪服を着用することが望ましいです。
リクルートスーツで葬儀に参列する際の注意点
やむを得ずリクルートスーツで参列する場合でも、できる限り喪服に近い印象にするための工夫が必要です。
1. 色は「黒」を選ぶ
リクルートスーツは紺やグレーのものもありますが、葬儀では黒無地のスーツを選びましょう。光沢のある素材は避け、できるだけマットな質感のものを選んでください。
2. シャツやブラウスは「白無地」で
男性は白無地のワイシャツ、女性は白無地のブラウスやカットソーを選びます。フリルやデザインが入っているものは避け、シンプルなものに徹しましょう。
3. ネクタイ・靴・小物類は「黒」で統一
これが最も重要なポイントです。
ネクタイ: 黒無地のネクタイは必須です。光沢のある素材や柄物は避けましょう。もし手持ちがなければ、コンビニエンスストアなどで手軽に購入できます。
靴: 男女ともに、黒のシンプルなデザインの靴を選びます。金具や装飾が目立つものは避けましょう。スニーカーやサンダルはNGです。
靴下・ストッキング: 男性は黒無地の靴下、女性は黒のストッキングを着用します。生足やカラータイツはNGです。
バッグ: 黒のシンプルなデザインのバッグを選びましょう。ブランドロゴが大きく入ったものや、光沢のある素材は避けてください。
4. アクセサリーは最小限に
結婚指輪以外のアクセサリーは、基本的に外すのがマナーです。女性の場合、パールの一連ネックレス（二連は「不幸が重なる」とされるため避ける）であれば着用が許容される場合がありますが、光りすぎるものや派手なものは避けましょう。
5. 髪型・メイク・爪も意識する
髪型: 清潔感を第一に考え、男女ともに派手な髪型は避けましょう。長い髪はまとめ、お辞儀をした際に顔にかからないようにします。
メイク: ナチュラルメイクを心がけます。派手なアイシャドウやチーク、リップは避け、血色を良く見せる程度に留めましょう。
爪: 清潔にし、ネイルアートは落とすか、目立たない色にしましょう。
「略喪服」という選択肢も考える
もし時間的な余裕がある場合は、葬儀後に法事などで着用できる**「略喪服」**を検討するのも良いでしょう。略喪服とは、普段のビジネススーツに近い感覚で着用できる、比較的シンプルな黒のスーツを指します。最近では、急な弔事にも対応できるよう、略喪服を一枚持っておくのが一般的になってきています。
男性: 黒のダークスーツ、白無地のシャツ、黒無地のネクタイ、黒の靴下、黒の革靴。
女性: 黒のワンピース、アンサンブル、スーツ、黒のストッキング、黒のパンプス。
リクルートスーツと略喪服の大きな違いは、素材の「黒の深さ」や「光沢の有無」にあります。略喪服は、より弔事向きの素材感で作られています。
いざという時に困らないために：事前の準備
「もしもの時」は突然やってきます。急な訃報で慌てないためにも、日頃から以下の準備をしておくことをおすすめします。
喪服（礼服）を準備しておく:
社会人として、一着は喪服（準喪服）を用意しておくと安心です。量販店や専門店で、体形に合ったものを購入しておきましょう。
黒の小物類を揃えておく:
黒無地のネクタイ、黒の靴下、黒のシンプルな靴、黒のバッグなど、喪服に合わせる小物類も一式揃えておくと便利です。これらは急な時に探すのが難しいものです。
ストッキングを予備で持っておく:
女性の場合、黒のストッキングは伝線しやすいので、予備を常に携帯しておくと安心です。
クリーニングや保管:
喪服は着用する機会が少ないため、いざという時にカビが生えていたり、シワになっていたりしないよう、定期的に状態を確認し、適切に保管・クリーニングしておきましょう。
まとめ：故人への敬意とご遺族への配慮を忘れずに
葬儀にリクルートスーツで参列することは、喪服が用意できない場合の最終手段として許容されることはあります。しかし、あくまで「略式」であり、本来のマナーではないことを理解しておく必要があります。
大切なのは、故人への弔意と、ご遺族への配慮です。服装がカジュアルすぎたり、派手すぎたりすると、周囲に不快感を与えてしまう可能性もあります。今回ご紹介した注意点を参考に、できる限り控えめに、そして故人を偲ぶ気持ちを第一に考えた服装で参列しましょう。
そして、「もしもの時」に慌てないためにも、日頃から喪服や関連する小物類を準備しておくことが、落ち着いて故人をお見送りするための大切な心がけです。