ムクドリってどんな鳥?お騒がせな賢い鳥との上手な付き合い方
私たちの身近に暮らす野鳥「ムクドリ」。夕暮れ時に空を舞う大群の姿は圧巻ですが、一方で「ギャーギャー」という大きな鳴き声や、ベランダや車を汚すフン害に悩まされている方もいらっしゃるかもしれませんね。今回は、そんなムクドリの生態から、お家でできる効果的な対策まで、ムクドリと上手に共生するためのヒントをご紹介します。
ムクドリってどんな鳥?鳴き声や特徴をご紹介!
ムクドリは、スズメとハトの中間くらいの大きさで、黄色いクチバシと足が特徴的な、日本全国で見られる身近な鳥です。雑食性で、昆虫や木の実、植物の種など、様々なものを食べます。特に「ムクノキ」の実が大好物で、その名前の由来にもなったと言われています。
ムクドリは、繁殖期にはつがいで分散して巣を作りますが、ヒナが育つと家族や仲間と集まって大きな群れを作り始めます。そして、夕方になると電線や街路樹に集団でねぐらを作る習性があります。この時に発する「ギャーギャー」「ギュルギュル」といった鳴き声は、時にパチンコ店内と同じくらいの音量になることもあると言われ、騒音問題に発展することもしばしばです。
なぜムクドリは都市部に集まるのでしょうか?実は、人間が開発を進めたことで、彼らの自然な住処や採食場所が減ってしまったことが背景にあります。都市の街路樹は隠れる場所が多く、また暖かく、餌も豊富に見つかるため、ムクドリにとって快適な環境となっているのです。ムクドリは非常に社会性が高く、また学習能力も高いため、一度安全で居心地の良い場所を見つけると、そこに定着しやすい傾向があります。
ムクドリによる被害と、お家でできる対策
ムクドリが集まると、主に以下のような被害が発生することがあります。
- フン害: 大量のフンが建物、車、洗濯物などを汚し、美観を損ねるだけでなく、衛生面でも問題になります。
- 騒音被害: 夕暮れ時の大群の鳴き声は非常に大きく、近隣住民の睡眠や生活に影響を与えることがあります。
- 作物の被害: 農作物や庭の果樹などを食い荒らすこともあります。
- ダニ・ノミ被害: 巣にダニやノミが発生し、人間に寄生するケースも報告されています。
これらの被害を防ぐためには、ムクドリに「ここは居心地が悪いな」と感じてもらうことが大切です。具体的な対策を見ていきましょう。
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物理的な対策
- 防鳥ネット・防鳥スパイク: ベランダや軒下、手すりなど、ムクドリが止まりやすい場所に設置することで、物理的に侵入や滞留を防ぎます。目の細かいネットを選ぶのがポイントです。
- 不要な枝の剪定: ムクドリがねぐらとするような枝が混み合った木は、定期的に剪定することで、ムクドリが隠れる場所を減らし、寄り付きにくくします。
- 巣の撤去(鳥獣保護法に注意): ムクドリは「鳥獣保護管理法」によって保護されています。ヒナや卵がある巣の撤去は許可なく行うと違法になる可能性があります。巣立って空になった巣は、ダニなどの発生を防ぐためにも早めに撤去し、必要に応じて消毒を行いましょう。
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ムクドリが嫌がるものを使う対策
- 天敵の模型やダミー: フクロウやタカ、カラスなどの天敵の模型を設置する方法です。ムクドリは賢いので、同じ場所に置きっぱなしにすると慣れてしまうことがあります。定期的に場所を変えたり、種類を入れ替えたりするのが効果的です。
- 光るもの: CDや反射テープ、鳥よけグッズなど、光を反射してムクドリを驚かせるアイテムも有効です。こちらも、場所を定期的に変えることが重要です。
- 忌避剤: ムクドリが嫌がる成分を含む忌避剤(ジェル、スプレー、粒剤など)を設置場所や木に塗布・散布する方法です。効果は約1ヶ月程度持続するものが多いですが、雨などで流れることもあります。
- 音や光の装置: ムクドリが嫌がる超音波や、強い光(LEDライト、レーザーポインターなど)、威嚇音を発する装置も市販されています。特に夕方、ねぐらに集まる時間帯を狙って使用すると効果が期待できます。ただし、近隣への配慮も忘れずに行いましょう。
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環境改善による対策
- 餌を与えない: ムクドリは食べ物を求めてやってきます。庭先に落ちた果実や生ゴミなどは速やかに片付け、ムクドリの餌場とならないようにしましょう。
- 定期的な清掃: ムクドリのフンは、放置するとこびりつき、掃除が大変になります。定期的に清掃し、清潔な状態を保つことで、ムクドリが快適に過ごせる環境を作らないようにしましょう。
専門業者や自治体への相談も視野に
個人でできる対策もたくさんありますが、ムクドリの数が多すぎたり、被害が広範囲に及んだりする場合は、専門の業者に相談することも検討しましょう。鳥害対策の専門業者は、ムクドリの生態や習性を熟知しており、鳥獣保護管理法を遵守しながら、効果的な対策を提案してくれます。防鳥ネットの設置や、大規模な追い払いなど、個人では難しい作業も安心して任せられます。
また、自治体によってはムクドリ対策に取り組んでいる場合があります。特に駅前などの公共の場所で被害が出ている場合は、自治体や管理組合、管理会社などに相談し、地域全体での対策を検討してもらうことも重要です。
ムクドリは私たちの生活圏に進出してきた鳥ですが、むやみに傷つけることはできません。彼らの習性を理解し、上手に生活圏を分けることで、人間もムクドリも快適に暮らせる環境を目指していきたいですね。